今回の更新は第700回のキリ番であるが、
お久しぶりのゲーム記事とさせていただく。
2021年に入ってから復刻され続けている携帯ゲーム、
探偵癸生川凌介事件譚シリーズの第6弾の感想である。
これまでのシリーズ記事はこちら↓
この中で、ストーリーが最も好きなものが第4弾と書いたが、
探偵もの(ミステリー)として最も好きな作品は、
今回紹介する第6弾
である。
無関係と思われた二つの事件が、
捜査を進めるうちに徐々に絡み合っていき、
最後に交錯するというストーリー構成。
ミステリー好きなら誰しもが味わったことのある、
終盤に伏線回収されたときの鳥肌度合いは、
これまでの作品の中でもトップクラスであり、
初回プレイ時は、2006年頃だっただろうか。
高校生だった自分が、
推理ものにハマるきっかけの一つと言っても過言ではない。
そんな大名作である今作が、
なんとswitchで500円でダウンロードできるというのである。
ミステリー好きの方は、ぜひプレイしていただきたい。
ということで、再プレイ時の感想を書いていきたいと思う。
(ネタバレ回避スクロール)
序章
ということで、
おなじみのシンプルなタイトルからスタート。
今作は、一部のタイミングを除けば、
伊綱側と生王側を自由に切り替えながら進めるという、
当時にしてはおそらく斬新な進め方となっている。
まずは、生王側。
鞠浜台駅近くのアーケードから開始する。
鞠浜台という町をぶらつくのは、
これまでのシリーズではあまり機会がなかったので、中々新鮮。
なお、本シリーズのファンのことを鞠浜市民と呼ぶ風潮があるらしい。
それでいれば、私も立派な鞠浜市民であることは間違いない。
ということで、
実際の市民になったつもりで散策を楽しんでいると、
伊綱側へ移動する選択肢だけが残り、伊綱側へ。
一方の伊綱側。
昼前に探偵事務所に出勤。
BGMのメインテーマがこれまでとアレンジが違ってて良い。
ダイヤル式電話なのが時代を感じる。
紅茶が切れていたということで、生王に電話する。
いませんか?いますよね?
のくだりがジワる。
完全に生王さんを下に見てるよね、伊綱さん。
ここで再び、生王側。
すると、シリーズおなじみの矢口床子、通称知床さんに遭遇。
紅茶屋さんを教えてもらい、一件落着かと思いきや、
友人から暗号が来ていて困っているという。
その暗号文がこちら。
答えは「魚屋」。
ガラケーで「3258」と入力すると「さかなや」になるため
というので正解に辿り着けるわけだが、
この暗号はガラケー世代じゃないと厳しいかもなー。
むしろガラケーのゲームだったからこその暗号、という感じ。
この暗号は導入部だけかと思ったら、
意外と本編のメイントリックにも関わりが深かった。
続いて、伊綱側。
最初は若い伊綱をなめているが、女性の素行を追うため、
女性探偵の方が有利という理由で説き伏せる。
さすが伊綱である。
しかし、原田には自分が尾行すると言ってたのに、
尾行業務は案の定、生王に振られることに。
と、ここで生王の名台詞「ゲフー」が初登場。
そして、生王側に代わり、尾行開始。
ここからは、備考の随所で選択肢が出てきて、
どれを選ぶかによって違う展開になりながらストーリーが進んでいき、
後で伊綱に採点されるというシステムになっている。
なお、あまりにまずい行動をとると、失敗してゲームオーバーもあり得る。
必要な情報は、
・6時退社
・三ヶ野原駅下車、鞠浜台から4駅目
・6:24 写真撮る 男1女1と一緒
・6:38 飲みに行く ビアホール アインス
・9:07 解散
・9:28 港公園
・10:24 再度鞠浜台から電車
・11:10 帰宅
・0:40 消灯
という流れ。
時間まで正確に聞かれるので、
メモを取りながら進めておいて正解だった。
高校生の頃は点数が低かったが、
今回はしっかりリベンジして100点を獲得!
ちなみに採点されるのは、
さらに後ろで伊綱が尾行していたからである。
さすが。
なお、特定の箇所でミスりまくると、
計算値がオーバーフローして、
100点をはるかに超えてしまうことがあるらしい。
という、この尾行ミニゲームが、
忘れかけた頃に思わぬ形で大きく関わることになろうとは、
プレイヤーには知るよしも無かったのである。
第1章
生王側から再開。
探偵事務所に寄ると、誰もいない。
そこで、次なる依頼人が登場。
依頼人の原雄介。
トークラの3年目社員で、企画開発担当とのこと。
内容は、浜川優美子の捜索。
ひと月前から勤務している女性の派遣社員であるが、
失踪してから一ヶ月が経過しているという。
さらに、食事には何度か行っていたようで、
原は本気で交際を考えていたそう。
この探偵事務所は優秀な探偵がいると浜川から聞いたそう。
(このあたり、浜川が誰かを知ったうえで読み返すと面白い)
そういうわけで、とりあえず対応することになった生王さん。
トークラに向かい、調査を開始する。
高山は、依頼人の原の上司。
浜川は超優秀で群れないとのこと。
なぜか写真が社内に残っておらず、
契約終了の2日前に失踪してしまった。
専務命令で探し出してほしいとのこと。
倉敷さやかは、浜川の隣で働いていたという。
浜川が原のことを倉敷に聞いていたため、
原と接触することが入社の目的だったかもしれないとのこと。
さすが、女性の勘は鋭い。
また、浜川は本名を偽証していたことが明らかになり、
新倉町の派遣会社アクシスを尋ねることに。
とここで、伊綱側へ移動。
音成刑事から警察署に呼ばれる。
音成刑事、さすがの自己紹介である。
連続殺人があったようで、
遺体に数字が刻まれていたという。
9月 田中広美 新倉町 89
1月 内野マヤ 金谷市 74
1月 楢原康司 中央町 45
2月 夏目政隆 川北市 29
ということで、
全員にちゃんとフリガナが振られているのが、
大きなポイントになっているわけだが、
この時点で伊綱が気付いちゃうのが凄いところ。
と、ここで、生王から伊綱に電話。
「ほい、伊綱ですよ。」の口癖が懐かしい。
また、音成が指摘しているが、
生王が相手の時の伊綱はいつもより3割り増しで意地悪、
とのことで、この関係性も面白い。
この事務所に居なかった件、
というのをミスリードに使っているところも絶妙。
第2章
生王側から。
再度アクシスに電話すると、
トークラに派遣した社員は居ないとのこと。
データベースにハマカワユミコの名前もない。
住所を尋ねると、田中さんという方が住まれている。
3週間前に若い女性が訪ねてきたとのこと→浜川ゆみこと名乗ったらしい
娘の広美は通り魔に殺された。昨年9月。
犯人は捕まってない。
浜川は港公園に行ったらしい。
高山によると浜川は原田からの紹介、
原田に聞こうとするも、早退したとのこと。
ここで、伊綱側へ。
慰留品を調査することに。
1人目の田中は男性関係が奔放、金回りも良い。おそらく援助交際。
2人目の内野は例の宗教団体「永劫会」の会員証を持っているとのこと。
当時は何のことかわからなかったが、
第10作の「永劫会事件」をプレイした後だと、
完全に理解できる文章となっており、潔癖なのも納得なのだ。
ということで、この時点で4作先の永劫会事件の設定が、
全て出来上がっていたということになるため、脱帽である。
(永劫会事件が時系列では過去なので、当然ではあるが)
3人目の楢原は出会い系使いまくりオジサン。
4人目の夏目は特に特徴ない学生。
謎の設計図を持っていたが、何のことかは不明。
迷惑メールを多数受信していたことが共通点だという。
とここで、再び生王側へ。
港公園にて伊綱と偶然遭遇。
浜川のことを尋ねるが、知らないとのこと。
(ここも後で読み返すと面白いポイント)
伊綱はなんだか急いでいるらしく、別の場所に向かってしまう。
第3章
引き続き生王側であるが、
港公園で花を供えている女性と遭遇。
この女性、友人が殺されたとのこと、
ここでまた何か起きそうとのことなのだが、
後で読み返すと鳥肌である。
さりげなさすぎて、初回プレイ時は全く気付かなかったが、
会話の中でこの女性が初対面であるはずなのに、
なぜか「生王」の名前を呼んでいるのである。
もしここで生王がそれに気付いていたら、
ストーリーがどう変わっていたのだろうか。
探偵事務所に戻ると、癸生川と遭遇。
浜川を探していることを伝えると・・・
とのこと。
さらに、事件は交錯しているとのこと。
そして寝てしまった・・・。
ここで、ふたたび伊綱側へ。
音成の検索の結果、
懸賞サイトのアンケートの回答者リストで4人並んでたらしい。
そのサイトの管理運営がトークラであった。
すると、港公園で新たな被害者が。
その名前は松井愛香。→以前尾行した人である。
伊綱「数字は15のはず。」
既に法則に気づいたとのこと。
次に15の人が殺されれば数字はゼロ。
発見者は赤沢雪人(こちらもトークラの社員)。
遺体の下に菜の花があったという。
とここで、例の法則についての謎解きタイム。
このときだけは、プレイキャラが音成刑事となり、
伊綱が出す質問に答えていく形で謎解きとなる。
答えはこちら。
名前か苗字が、ア段の文字だけで構成されており、
携帯で文字入力するときのキー数字になっているのだ。
つまり、次に殺されるのは、数値の合計が15の人となる。
とここで、生王側へ。
トークラで機密漏洩があったらしい。
ライバル企業に企画をとられたとのこと。
原田部長が疑惑のデパートであり怪しい。
赤沢に聞き込み調査する。
なお、聞き込みの中で、
生王が浜川と港公園で話しているのを見たという部分がある。
このとき、
というリアクションが入るわけだが、
これは生王の勘違いもあるが、超秀逸なミスリード。
ほとんどの人はこの人が浜川だと思ってしまうだろう。
赤沢によると、親しげに話していたとのことだが、
生王とこの人は親しげには話していないので、
そこで気付けるかどうかというところ。
なお、少し前、秘書課の女性社員が亡くなったとのこと。
女性社員は病気ではなく殺害された。→おそらくこれが松井愛香
原から浜川の行方を尋ねられて、
港公園にいたと答えると、原は突然港公園へ。
第4章
赤沢とともに原を追いかけて港公園へ。
すると、伊綱から着信。
原が怪我することがあったらすぐ連絡欲しいとのこと。
その予告の通り、人が倒れてるのをアカザワが見つけると、
原が怪我した状態で横たわっていた。
と、ここで伊綱側へ。
すると、生王側でついさっき殺されたはずの松井愛香のデータが登場。
勘の良い人であれば、
ここで、生王側と伊綱側で、
松井が殺された日に大きくズレがあることがわかるだろう。
つまり、序章をプレイした段階では、
同じ時間軸で両場面が切り替わっていると思い込むが、
それは序章だけの話であり、
そもそも第1章以降では、
伊綱側と生王側では時間軸がズレていたのである。
(伊綱側が生王側の数ヶ月前の話となる。)
これが本作の最大の仕掛けのひとつ。
分かったときは鳥肌が止まらなかった。
そして、当該のリストには原雄介の名前が。
これが原が容疑者として浮上したきっかけである。
原田は田中広美の援交相手の1人で、原田から金を巻き上げていた。
また、松井愛香は借金をもの凄い勢いで返していた。
そんな中、依頼人である原田の自供が始まる。
原田は、交換殺人を持ち掛けられ、松井を殺す約束があった。
交渉相手は、若い女性であり、
向こうの殺したい相手が松井だった。
すると、交換した田中が本当に死んだ。
そこから様々な疑惑をかけられるように。
と、いうことで、原田からの依頼によって、
伊綱はトークラで潜入捜査することになったのである。
そう、浜川優美子として。
生王側でそれが明らかになったときのヒトコマ↓
ということで、
ここからは完全に解決編。
昨日に怪我を負っていた原容疑者は無事確保されたとのこと。
真相は以下の通り。
お金に困った人が3人(松井、原田、原)。
原は機密情報の裏取引をしており、
原田の悪い噂を流していた。
原は、それを松井に知られて強請られる。
原は松井を、原田は田中をそれぞれ殺したかったのである。
と、ここで、とある女性が仲介に入り、
原と原田の間で、交換殺人の約束が交わされた。
原は先に田中の殺害を実行する。
しかし、交換相手がなかなか殺されないので、
原は用意しておいた保険を使う。
それがシリアルキラーの見せかけ。
しかも、原が最後の被害者となり、
容疑から外れるという仕組み。
伊綱はそれに気づいていたので、
数字の法則で15となる浜川という偽名を使って、
潜入捜査を開始したのである。
そして伊綱(浜川)は終盤で、
と挑発。
逆上した原は、浜川をみつけようとするが、
伊綱は警察に保護されていたため、見つからない。
そして、原は、ついに自分を傷つけることに。
明確な証拠が無く、なかなか捕まえられなかったが、
ナイフから、そのとき警察にいたはずの原田の指紋が採取。
原が捏造したことが明らかになり、原を逮捕することができた。
ということで事件は無事解決。
同じ環境で働くということの難しさを問う
〆の文章があり終わりかと思ったが、
これで終わらないのが癸生川シリーズ。
交換殺人の仲介人になった女性のことのようだが、
殺された人の数字の法則どこかで…
そう、序章で知床さんが「さかなや」で待ち合わせしていた人である。
メールの差出人は・・・amiami!
そして矢口に聞いてみると・・・
シャングリラの事件にも出ていた怪しい人物でamiといえば、
ダンサー:久美浜亜美である。
そして舞台は港公園へ・・・
癸生川VS久美浜、再びである。
交換殺人の件は、久美浜曰く、冗談を口にしただけとのこと。
産業スパイのようなこともしているようで、変装もお手の物。
4年前の私怨?
という怪しいキーワードが登場するが、
4年前とは、この後リリースされるはずの、
「五月雨は鈍色の調べ」事件(第9作目)である。
早ければ今年中にプレイできるかも、
と思うと、すごく楽しみである。
そして彼女はこう続ける。
生王の名前を呼んだ?
正直初回は全く気付かなかったが、
今回、久々にプレイした時は、ちゃんと気付いて鳥肌である。
いやほんと、よくできてますわ。
果たして1回目でそれに気付けた人いるのだろうか?
そんな鳥肌連発のエピローグであったが、
結局、証拠がないため、癸生川も久美浜を捕まえることはできず。
想いが交錯すると歪みが生まれる。
この街にはまだ静寂は似合わない。
という続編を期待させるラストで〆である。
いやー、今回もすばらしかった。
時間軸のずれをうまく使ったミスリードが秀逸だったし、
関係ない事件が交錯してどんどんつながっていく展開は、
ミステリー好きとしてはたまらなかった。
それに、今回は伊綱ちゃんがすこぶる優秀で、
癸生川探偵の印象は薄かったけど、最後に見せ場があったし。
また、同シリーズの過去の話とのリンクも多数あり、
シリーズのファンがニヤリとできる描写も多数。
最高であった。
あー早く「五月雨」や「永劫会」を遊びたい!
ということで、ついつい長くなり過ぎたが、
このあたりで終わりたいと思う。
なお、本ゲームの続編であり、
シリーズとしてはスピンオフ扱いである、
音成刑事が主役の第7弾。
がすでにリリースされている。
こちら、個人的には携帯ゲーム時は遊んでいないので、
今回初めて遊ぶことになり、非常に楽しみ。
というこんな長々とした記事を書いているうちに、
なんと第8弾の「仮面幻影殺人事件」のリメイクも決定!
明日11/4にリリースとのことであり、非常に嬉しい限り。
今後の展開にますます期待の癸生川シリーズ、
引き続き、追いかけ続けていきたいと思う。