腸壁を削って美味い物を食す

元潰瘍性大腸炎(軽症)患者であった筆者(現在は完治済)が、症状が再燃するリスクを覚悟してでも食べたいと思うほど美味しかった逸品(主に麺類)を紹介していくブログです。不定期更新ですが、地道に書き進めていきます。よろしくおねがいします。

89.FF8

結論から言うと、予想を遥かに超えて面白かった。

個人的にはFF7より好きかもしれない。

とにかく1999年に発売したというのが信じられないほどのクオリティ。

序盤のストーリーやバトルシステムの特殊性で途中でリタイヤしてしまう人が多いみたいだけど、

終わってみると考察しがいのあるストーリーだし、

システムをよく考えてプレイすればどうすれば効率が良いかが見えて戦闘も楽しくなってくるので、

まだ未プレイで、ありきたりなRPGに飽きたという人にはお勧めの作品である。

現時点でiOS版やその他の機種でのリメイクはされていないので、

やるとしたら、PSかアーカイブス。

自分はPS VITAのアーカイブスでプレイした。

裏のタッチパネル使わなきゃいけないのがめんどくさいところではあったかな。

 

さて、以下、項目別にみていきたい。

(1)戦闘システム

召喚獣や魔法を「ジャンクション」するというシステムを理解できるかどうかがカギ。

ジャンクションとはまあ装備のようなもので、召喚獣ごとにジャンクションできるパラメータも決まっている。

召喚獣を成長させることで強化パラメータを増やすことができるということも、もっと早くから知っておけばよかった。

このジャンクションシステムが非常に強力であるがために、

FF8においては、主人公たちのレベルアップにはほとんど意味がない。

このことにどのタイミングで気づくことができるかが、このゲームを楽しめるかどうかにかかっている。

攻撃面で重要なのは「特殊技」の存在。

HPが少なくなった時に必殺技的な感じで出せるようになる技であるが、

序盤はその重要性になかなか気づけない。

これまでのRPGが「HPを常に高く保ちなさい」というタイプだったので、

技自体は強力だけど、なかなか特殊技を使おうという気になれないのである。

 

序盤は魔法や召喚獣に頼ってばかりで、あまり大ダメージが与えられずにバトルが長引いてしまうことも多かった。

時間はかかるし魔法はどんどん減るし、ドローめんどくさいし、

そうやってかなりの人が脱落していったのだと思う。

自分も危うく飽きてしまうところだった。

しかし、システムに気付いて、攻撃面を整えて、特殊技を積極的に使うようになると、

大ダメージも与えられてバトルも早く終わるし、何よりギリギリのスリルが味わえるので戦っていて楽しくなった。

ポイントは、以下の2点である。

1.HPにケアルガ100個をジャンクションさせて最大HPを増やすこと

2.力に強力な魔法をジャンクションさせて通常攻撃力を上げること

これをやるだけで戦況が大きく変わる。

上記の1についてはそれだけで守備面も安定するので一石二鳥である。

物語終盤になると、アルテマやメテオなどの究極魔法と呼ばれるものが手に入りだす。

それらをジャンクションしたパラメータは恐ろしく強力になるため、それらの使いどころがものすごく重要である。

自分はスコールの力にアルテマを100個ジャンクションして、力を上限近くまでもっていき、アビリティなどで最大HPを8000以上にしたうえで、あえてHPを黄色表示になるまで減らして必殺技を連発させていた。もしくはフルHPにしてから「あんこく」を連発する。

これだけでもたいていの敵は倒せてしまう。

でも、そういった戦い方をしていると、特定のボスで痛い目に合うわけだが、そういうちょっと慣れてきた初見プレイヤーを殺す罠が潜んでいるのも、ゲームの難易度として面白いと感じさせるちょうど良さだったと思う。

 

(2)BGM

CMで使われている「Eyes on me」をはじめ名曲の宝庫である。

とくに、そのアレンジである「Love Grows」がすばらしい。

フィッシャーマンズホライズンでスコールがリノアを背負って歩いていく場面にかかる曲なわけだけど、ストーリーの雰囲気とも合わせてきてるし、アレンジが良すぎる。

戦闘曲もどれもテンションの上がる曲ばかりだった。

通常戦闘曲「Don’t be afraid」

ボス曲「Force your way」

ラグナ編「The man with the machine gun」

魔女戦曲「Premonition」

ラスボス戦曲「The extreme」

オーケストラで一度聞いてみたい。

癒し系の曲も多く、

フィッシャーマンズホライズンとか、ガーデンの曲とか、フィールドの曲とか、

しっとりとピアノアレンジで聞いてみたい。

 

(3)ストーリー

最後に持ってきたのはネタバレ回避のためである。

FF8は「恋愛もの」とひとことで言われる事が多い。

確かに恋愛要素も含んでいるが、そんな単純なものではなかった。

SF、魔女、ロケット、時間遡行など色んな設定も出てくるうえ、

主人公たちそれぞれの成長物語として良質の人間ドラマとして見ることもできるし、

それを見守る大人たちにもそれぞれ物語があって、奥が深い。

 

※以下ネタバレを含んだ感想になります。

 

序盤は、バラムガーデンという学校の生徒であり、傭兵であるスコールたちが依頼を受けて任務をこなす、というストーリー。

その一環で、森のフクロウのメンバーであるリノアからの依頼を受けたことがきっかけでリノアもパーティに入る。

任務を受けているうちに、バラムガーデンがピンチになり、母校を守るために戦うこととなったり、倒すべき敵である魔女イデアを追いかけることがストーリーの中心となる。

トーリーがわかりづらくなってしまうのは、時々入ってくる回想編。

ラグナという軍人が主人公で、初回や2回目はそれまでのストーリーと全く関係がない。この脱線についていけるかどうかも、最後まで遊べるかどうかの境目になるだろう。しかし、このラグナ編がストーリーの核心にかかわってくるので、実はすごく重要だったりする。

魔女イデアを倒すと、状況は一変する。

まず、魔女イデアはスコールやゼルやキスティスたち幼馴染の育ての親の「ママ先生」であることがわかり、倒したことでその魔女の力が失われたらしいことがわかる。

そして、ヒロインであるリノアが気を失い、目覚めない。そして、ここからは、任務としてではなく、リノアを救うために…というストーリーに変わってくる。

エスタという町に着くと、キーパーソンであるエルオーネについての真相が明らかになり、エルオーネに会ってリノアを救うために宇宙へ。

魔女に操られて暴走するリノア、そして宇宙空間に投げ出されたところを助けに行くスコール。ここの場面は印象的だった。

ここで流れるEyes on meには鳥肌が立った。

この『Eyes On Me』は、劇中ではラグナに想いを寄せていたジュリアがラグナのことを歌った曲となっている。

二人が結ばれることは無かったが、ラグナの息子であるスコールと、ジュリアの娘であるリノアが結ばれるシーンで、流れるという、一周目ではなかなか気づきにくい粋な演出。

そして、なんとか宇宙から帰ってくると、たびたび回想編のあったラグナの正体、そして、真の敵である魔女アルミティシアの存在も明らかになって、ついにラストバトルへとなだれ込む。

時間圧縮しようとするアルティミシア、逆にその圧縮を利用して未来にいるアルティミシアを倒しに行く主人公一行。

死闘の末、アルティミシアを倒すことに成功し、ようやくエンディングを迎える。

このエンディングの演出が素晴らしかった。

スコールが記憶喪失となり時空のはざまから戻ってこれなくなったところを、これまで助けられっぱなしで足を引っ張っていたリノアが魔女の力を使って助けるという展開も良かったし、

ラグナとラインが結婚する場面や、ラグナがラインの墓参りをするシーンも出てくる。

ラグナがスコールの父だったというのは、初見では気づけなかったけど、それを知ってからエンディングを見るとまた格別である。

サイファー、風神雷神のくだりも良かった。

そして、このエンディングにかかるEyes on meが反則級に泣かせに来ている。

その後の、セルフィやアーヴァインがハンディカメラで祝勝会の様子を撮っているという演出も良い。各キャラのその後もわかるし、ちょうどリノアが誰かとしゃべっているところで電池が切れるというのも憎い演出。

スタッフロールのあと、最後にちゃんとスコールが無事で戻ってきたこともわかり、これからの幸せな生活を予期させるラストであった。

しかし、まあ、壮大な伏線をエンディングだけでだいぶ回収したなあというのが、正直な印象。

このゲームが発売された時はまだ小学生だったけど、その当時にプレイしていたら絶対に理解できなかったと思う。

今でさえ考察サイトを読んでようやく理解が追い付いているというのに。

 

考察サイトといえば、とある記事に面白い分析があった。

 

他のFFは肉体的にも精神的にもタフなヒーローたちが活躍する物語だが、

FF8は経験の少ない未熟な主人公たちが自分や大切な人を守るために、失敗しながらも成長していく物語である。

 

なるほどなと思った。

たしかに、他のFFでは感じられない「青さ」というべきものを、このFFからは感じた気がする。

「スコールの性格が痛い」という感想どこかで見たような気もするが、それも演出上当然のことで、序盤のスコールは「一人で生きたい」と強がっていたが、終盤では「俺…本当は他人にどう思われてるか、気になって仕方ないんだ」という自分の感情に気付き、それを吐露するようになっている。

それはリノアの影響もあるのだろうが、そういった各キャラの精神的な成長をみることができるというのも、このFF8の魅力なのかもしれない。

そう考えると、FF8は対象年齢がものすごく高く設定されているのだと思う。

 

ということで、ものすごく長くなってしまったが、このような良く練られた考察しがいのあるストーリーの作品は久しぶりだったので、すごく楽しめた。

FFの中で1番かと言われると違うかもしれないが、最近は薄っぺらい作品が増えてきているので、ストーリー重視のゲームの素晴らしさを改めて実感した。