本ブログでも5回目の登場となった鮮魚系創作つけ麺のお店。
実はあと2回分くらいストックはあるのだが、
あまり登場させすぎても偏ってしまうので、
ちょっと間をあけつつ登場させていきたいと思う。
今回の魚は「アコウ」。
キジハタという名前でも知られ、ハタの仲間。
姿形も美しく、美味で数も少ないことから、高級魚とされているが、
赤みがかった褐色に橙色の斑点、大きなトゲもあり、おいしそうには見えない。
でもこれが実際食べてみると美味しいのだから不思議なものである。
まずは、いつも注文する日本酒から。
・日本酒:純米吟醸 雄町 「洌」
東光の特約店限定銘柄「洌」。
山形のお酒で、日本酒度+6ということで、かなり辛口の部類。
洌とは、まるで澄み切った真冬の小川のような、芯の強さと透明感を表すらしい。
半年間熟成させることで、雄町らしい深い味わいとキレを兼ね備えたらしい。
※雄町・・・稲の品種のひとつで、味の厚さが特徴とのこと。
たしかに、その説明の通り、飲んだ瞬間は強烈な味ながらも後味はすっきりしていて、
今回もまた、後述する刺身やつけ麺によく合うお酒であった。
・創作つけ麺:鳥取県境港産 アコウ
注目すべきはやはりその力強い出汁である。
何度か白身魚の出汁のつけ麺は食べてきたが、今回が最も濃厚かもしれない。
透き通って入るのだが、すごく旨味が凝縮された出汁であり、
巷にあふれた濃厚系とはまた違った意味で食べ応えは抜群であった。
トッピングは秋らしい食材のオンパレード。
・柿の木茸
・みずの実
・銀杏
・出汁巻き玉子
・九条ネギ
・アコウの落とし(メイン:後述)
とくに上のふたつは完全にこれまでに食べたことのない食材。
まず柿の木茸は、エノキのようなシャキシャキした食感がありつつ、
肉厚なので食べ応えもそれなりにあり、
それでいてクセのない味なのでスープに完全にマッチしていた。
みずの実は、独特の食感をもった山菜。
山奥深くの清廉な沢に自生する「みず」という植物の実の部分であり、
秋になると枝の葉の根元に実ができるという特殊な植物である。
独特のとろっとしたみずみずしい歯ごたえがあって美味しかったが、
一本の「みず」から4つか5つしか取れない貴重なものらしく、
食材としては高級であるとのこと。
自分ではとても料理に使わないので、今回食べることができてラッキーだった。
刺身
この刺身が毎度のごとく絶品であった。
アコウは歯ごたえのある魚ということで、薄造りにしてあったようであるが、
とにかく旨味がすごかったという印象。
日本酒との相性もバッチリであった。
・落とし
そして、極めつけがアコウの落としである。
先程のスープの中に沈んでいたのだが、なんと3つも入っていた。
ひとつだけでこの大きさなので、かなり贅沢。
これまでは塩焼きだったりムニエルだったりしたが、
落とし(湯引き)もまた絶品。
ホクホクの食感と、出汁を含んでほんのりついた塩味がたまらない。
皮目にはしっかりと油も乗っていて食べ応えも十分。
紅葉おろしとポン酢と一緒に食べるのが美味しいのだが、
3つあるのでいろんな食べ方ができるのもうれしいところ。
・〆茶漬け with 肝醤油
そして最後は、いつもの〆茶漬け。
今回はなんと「肝醤油」付きである。
この〆茶漬けたった50円とは思えないクオリティ。
これは全員問答無用で付けなきゃ損ってレベルである。
超濃厚で味わい深い肝の味が出汁ともよく合ってたまらない。
まさに深みのあるお茶漬けという感じでもう最高の〆であった。
ということで、
今回もまた、普段は食べることのできない高級魚と高級食材が楽しめた一杯であった。
月1回は行ってしまっているので、さすがにもうちょっとペースを落とそうかな、
とも思っているが、これだけ毎回感動させられてしまうと、行かざるを得ない。
※前回記事