君の名は。コンプリートエディションには3枚の特典ディスクがつく。
1枚めの特典ディスクの内容は以下の2つ。
・ビデオコンテ
・メイキングドキュメンタリー
いずれも貴重な映像だらけで、ファンにとっては本当に見てよかったと思える内容になっている。
1.ビデオコンテ
新海監督が1年以上をかけて作り上げた物語の下書きともいうべきものであり、
ラフ画や写真を組み合わせた映像をもとに、新海監督がほぼ全ての声を演じている。
(大人版三葉だけはなぜかスタッフの声→2019/7/16訂正:女性役の声は監督の奥様が演じられているそうです)
DVDに収録されているのは、そのビデオコンテにRADWIMPSの歌やBGMをプラスして再編集したバージョンなので、
スタッフの方が最初に見たビデオコンテとは若干違うものであるが、
基本的にイラストや写真は当時のままとのこと。
なにより、その完成度に驚かされた。
もうほぼ本編といっても過言ではない。
といっても、ここからアニメに仕上げるまでに1年以上を要しているわけだから、アニメ映画製作がいかに大変かがわかる。(詳細後述)
このコンテでは、シーンのひとつひとつに動きや演出の指示など、細かい書き込みがあって、そういうところに注目して見ていくと非常に楽しい。
中には、本編では使われていないカットや、若干変更された部分もあって、そういったところも見れるのは貴重である。
また、本編では明示されてない裏設定も書き込まれているのが、注目ポイントであったりする。
特に驚いたのが、奥寺先輩の婚約者が司だという設定。エピローグの奥寺先輩の指輪のところで、注釈が入っており、ビデオコンテの時からある裏設定である。
もちろん、上映された本編ではその情報はどこにも出てこないが、よく見ると司もエピローグで指輪をしている。
さすがに内定を8社も勝ち取る男は違うなぁというところである。
2.メイキングドキュメンタリー
君の名は。ができるまでの、スタッフさんたちの戦いに関する貴重なドキュメント。
素直に感動した。
総勢400人以上のスタッフがここまで奮闘していたとは知らなかった。
さらに、そのメンバーもすごく豪華で、スタジオジブリを経験したアニメーターや、数々の人気アニメを手がけたスタッフさんが集結していた。
キャラクターデザイン、絵コンテ、CG、美術(背景)、撮影技術、効果音など、様々なスタッフさんがいらっしゃった。
そして、それらをまとめるプロデューサーはヒットメーカーの川村元気さん。プロデュースされてきた主な作品は、電車男、悪人、告白、モテキ、宇宙兄弟、おおかみこども、バクマン、怒り、何者、など。
監督やプロデューサーを中心に、各方面で天才と呼ばれている人たちをまとめあげて、これだけの完成度の作品にまで持っていくというのは凄まじい仕事量だと思う。
でも、このメイキングで何より凄かったと感じたのは、劇中音楽を担当したRADWIMPS。
脚本ができて、ビデオコンテがまだ無いような状態のころから、1年以上をこの「君の名は」に費やして22曲も作ったらしい。
それに、監督からの注文もなかなか厳しかったらしい。
ここで1テンポ遅らせてくれとか、振り向くタイミングに合わせてくれとか。
でも逆に、音楽に映像のタイミングを合わせることもあったという。
お互いこだわりもあっただろうし、並大抵の苦労では無かったと思う。
でも、だからこそ、出来上がった後の充実感たるや、凄まじいものだったと思う。
出来上がって初めてスタッフで完成版を観た後に、新海監督と川村プロデューサーとRADの野田さんで飲みにいってお互いを労ったという話があり、さぞ楽しかったんだろうなぁと思った。
自分もモノづくりを生業にしている以上は、そういう情熱をもって取り組んでいかなければなぁと改めて感じた。