実に9か月ぶりとなる巌哲さんの限定。
去年から、金曜日がなかなか忙しく、
なかなか限定に行くことができなかったが、
久々に金曜の早い時間に帰れたのと、
食べたことのない魚だったので、
チャレンジしてみることに。
その魚が、今回の限定である、
鯧(まながつお)
である。
正直、巌哲さんの限定で、
初めて知った魚である。
それもそのはず、関東ではほとんど水揚げがなく、
あまり出回っていない魚らしい。
「西にサケなし、東にマナガツオなし」
ということわざもあるそうで、
西日本では割とポピュラーな魚であるとのこと。
国内産超高級魚のひとつでもあるそうで、
値が高すぎて、一般小売店、スーパーなどには出回らないそう。
なお、白身魚であり、カツオとは似ても似つかないが、
カツオのいない瀬戸内海などでカツオがとれないので、
初夏にとれる本種を「カツオに見立てた」ところから
「真似鰹(まねがつお)」と呼ばれて、
それが「まながつお」に変わっていったらしい。
そんな、まながつお、
漬け魚として使われることが多いようであるが、
今回は店長さんのブログによると、
刺身に天ぷらに、幽庵焼きに、
多彩な調理方法で登場するらしいのと、
小さめの500gの個体らしいが、
1人前に半身を丸々使うということで、
そのボリュームにも期待が膨らんだのであった。
そんな、事前情報もあってか、
開店直前に行ったにもかかわらず、
20人以上の大行列であった。
さすがの人気ぶりである。
久しぶりだったので、
どて焼きと日本酒からお茶漬けまで、
フルセットで注文したのであった。
なお、券売機が最新のものに変わっていて、
各種電子決済に対応されていて、
非常に便利になっていた。
まずは、どて焼き(と日本酒)から。
どて焼き+漬物(お酒のアテ)
久しぶりに来たら、
いつのまにか箸が新しくなっていた。
どて焼き
いつもながら美味しい。
脂身が少ないところと多いところが、
良いバランスで入っているのがまた良い。
なお、下記の通り、
七味が卓上に設置されたことで、
セルフで振りかけるスタイルに変わっていた。
たっぷり柚子入りとかかれているだけあり、
柚子の風味が強く、具も一つ一つが大きい。
こんなおいしい七味を好きなだけかけられるなんて最高過ぎる。
日本酒 赤石 おり酒
ここまで濃厚なにごり酒は久々に飲んだ。
いやー、これはとんでもなく美味い。
香りも力強くて、少し炭酸が入って、
トロトロの噛み応えもありながら、
生原酒特有の強烈な日本酒感。
これは凄いものを飲ませて頂いた。
調べてみると、
太陽酒造さんは兵庫県の酒蔵で、
昔ながらの木造蔵で完全なる手作りとのこと。
大量生産していなさそうだし、
これは希少価値が高そうだ…。
本当にありがとうございました。
さて、ここからやっとメインのつけ麺である。
創作つけ麺 兵庫県淡路島福良産 鯧(まながつお)
盛りだくさん過ぎて、
ひと席のスペースに入りきらないんじゃないか、
というくらいのボリュームであった。
麺+スープ
スープ
まずはスープから、
今回は珍しくスープの中に魚の姿は無く、
鯧のアラと昆布でとった出汁に、
聖護院大根すり流しを入れた、
天つゆ風のスープになっていた。
これが、とんでもなく美味かった。
一般的に天つゆといったら甘めのイメージだが、
とんでもなく美味い出汁がベースにあって、
それが天つゆ風に味付けされていて、
日本蕎麦のつゆに近い感じ。
これだけでも正直相当おいしいと思う。
そこに大根のすり流しが入っていて、
麺をくぐらせるたびに絡みついてくるのである。
これがマジで最高であった。
醤油味の鍋に大根おろしを入れた「みぞれ鍋」が
個人的にかなり好きなのだが、
それに近いイメージになっていて、
熱を通した大根の特有の甘さもあり、
食感の独特なシャリシャリ感もあり、
最高であった。
スープの中の具は、
・椎茸含め煮
・セリの葉おひたし
どちらも、めちゃくちゃ美味かった。
セリは思っていたよりもクセが無く、
麺と一緒にザクザク食べることができ、
水菜に近い感覚であった。
椎茸は、スープをしっかり吸っていて、
噛むたびにあふれ出る旨味が最高であった。
麺+刺身+幽庵焼き
日本酒もお茶漬けもつけることにしたので、
今回の麺は200gにした。
無料で300gにできるのは素晴らしいけれど、
僕の胃袋の容量では、
最後まで美味しく食べるには、
我慢して200gにするのが正解。
それが辿り着いた結論であったが、
今回も大正解だった。
刺身
この仄かに炙ってある感じがたまらない。
表面の照りからわかるように、かなり脂が乗っており、
この脂が非常に甘味があって美味しい。
味はそこまで濃くないが、
クセが無くて、お酒のアテにもピッタリだった。
幽庵焼き
店長さんが一枚一枚丁寧に炭火で焼いており、
焼きたて熱々での提供されるありがたい逸品。
これが異常な美味しさで、
身はフワフワ、表面はパリパリ、
上品な味付けも相まって、
これでご飯が何杯でも行けそうな美味しさ。
これ単品だけで、普通に2000円以上いきそうな感じ。
店長さんによると、
マナガツオといえば幽庵焼きが定番らしく、
今回その定番を味わうことができて良かった。
天ぷら
天ぷらは何と3種類あり、
・まながつお天ぷら
・タラの芽
・セリの根
というラインナップ。
これらが揚げたてホヤホヤで出てくる。
これらを絶品の天つゆ風スープにつけても良し、
内モンゴル産の塩をつけて食べても良しだが、
どちらも美味しすぎて感動した。
セリの根は、初めて食べたが、
多少筋っぽいのが残るのかなという予想に反して、
揚げたてサクサクの食感そのままに、
サクッと簡単に噛み切れて、
軽い食感でめちゃくちゃ美味しかった。
タラの芽も、仄かな苦みが、
旨味に完全に昇華していて、
某チェーン天ぷら屋は軽く超えていた。
そして極めつけは、
まながつおの天ぷら
衣はサックサクで、身はフワッフワ。
何なんだろう、この美味さは。
これまで白身魚の天ぷらといえば、
キスが王道であったが、
それをはるかに超えてきた。
もう、ぶっちぎりのダントツ。
それほどの美味しさだった。
この美味しい天ぷらを、
塩+天つゆで頂いたあとの、
日本酒グイっとが完全優勝。
さらにその流れのまま、
ひたすらに美味い麺をすすれるという、
幸せ過ぎるウイニングラン。
もう最高でしたね。
そして、〆は勿論こちらです。
お茶漬け
こちらも完全優勝間違いなし。
幽庵焼きを少し残しておいて、
そのほぐし身を混ぜながら頂くことで、
もう、これ以上ない最高の締めでした。
ほんともう、言うことは無いですが、
巌哲さんに行ったときは、
焼き物をあえて少し残しておき、
お茶漬けに合流させる。
これを推奨いたします。
ということで、
初めて食べたマナガツオであったが、
こんなに美味しいお魚だったとは…。
新年早々、こんなにも美味しいフルコースを頂き、
さらに超貴重な日本酒も頂くことができて、
幸せ過ぎました。
今年もまた忙しいことが予想され、
金曜日に行けるチャンスは少ないかもしれないけれど、
なんとか行そうな日は可能な限り行きたいなと、
そう改めて思ったこの日の一杯でした。