1か月以上ぶりとなる巌哲さんの限定つけ麺。
個人的には2度目となる黒ムツである。
※前回の黒ムツ記事はこちら。
このときの塩焼きも想像を絶する美味しさだったわけであるが、
これだけ美味しかった黒ムツを食べ逃すわけにはいかないと思い、
黒ムツだと聞いた瞬間に行くことを決めたのであった。
普段は限定は金曜日の夜だけなのだが、
今回は10kgオーバーの大物ということで、
土曜日まで数が残っていそう、という情報を入手。
よって、今回は金曜日はあきらめて、
土曜日の夜、開店直前に並ぶことにした。
すると、その予想の通り、土曜朝の時点で
残り24食とのお知らせが。
ゆっくり行っても良かったのだが、
時間に余裕があったので早めに行ったところ、
今回はなんと9番目。
ファーストロットに並ぶことができた。
ちなみに、この9番目や10番目というのはまさに特等席であり、
店長さんの包丁さばきを目の前で堪能することができるのである。
なお、先日食べた鮪塩冷やし※が、
ぶらり途中下車の旅で紹介されており、
その感想も店長さんにお伝えさせていただいた。
※鮪塩冷やしの記事
さて、今回の限定に話を戻すが、
まずは日本酒から。
トリプルA ひやおろし
岡山の白菊酒造の限定品である。
岡山県特産の
朝日米、アケボノ、アキヒカリという3種のお米からつくられているのが、
名前の由来だそう。
ひやおろしとは、
その年の冬に作ったお酒を蔵内でひと夏越して熟成させ、
涼しい風が吹き始めることに蔵出しするということだそうで、
まさにいまの季節にぴったりの逸品。
角が取れて非常に飲みやすいだけでなく、
程よい酸味と旨味のバランスも最高。
単体で飲むのはもちろん、
後述する、刺身や幽庵焼きとも抜群の相性のお酒であった。
いつもながら、着丼の瞬間のワクワク感が凄まじかった。
特に今回は、店長さんの包丁さばきを間近に見ることができたので、
より一層ワクワク感が強かった。
麺と刺身
麺の上には、刺身が2枚。
と思いきや、
なんと、片方がお刺身でもう片方は昆布〆とのこと。
いやー、昆布〆なんてめったに食べられない。
絶対美味いと予想していたが、
案の定、美味しすぎる。
美味しい白身魚が食べたいと思ったら、
普通の寿司屋行くよりこっちだなと思ってしまうくらい、
すさまじいクオリティであった。
なお、昆布締めは、
おろしポン酢(ちり酢)でいただいたのだが、
昆布出汁の旨味がほんのり感じられながらも、
ポン酢で後味がサッパリと爽やかになり、
また新しい美味しさを知ることができた。
そして今回は、おまけの肝付き。
どこの肝だったか、忘れてしまったが、
全然クセがなく、コリコリした珍しい食感で美味しかった。
たまに、予告にない、おまけがついてくるのは、
ある種のサプライズとしてうれしい限りである。
出汁
そして今回も出汁が美味すぎた。
毎回白身魚なので、似てはいるのだが、
旨味の重なり方が微妙に違う。
そこの細かな違いを描写できるほどの語彙力は持ち合わせていないが、
今回の出汁がとてつもないクオリティであったことだけは分かった。
出汁の中の具としては
・黒鯥幽庵焼き
・新ぎんなん
・白まいたけ
・九条ネギ
・名古屋コーチン出汁巻
・糸柚子
まず、メインの幽庵焼きが、最高以外の言葉では言い表せない。
ズームした写真がこちら。
これがひいき目なしに過去最高の幽庵焼きであったと思う。
しっとりとした舌触りにホロっと崩れる口溶け。
良質の脂が乗っていて、旨味も抜群。
幽庵焼きなので、味もそれなりについていて、
後述するご飯のおかずとしてもピッタリであった。
正直、この幽庵焼きと白いご飯だけの定食があったら、毎日食べたい。
なお、幽庵焼きとは、
幽庵地(醤油・酒・味醂の調味液にユズやカボスの輪切りを入れたもの)
を用いた魚のつけ焼きであり、
江戸時代の茶人のひとり北村幽庵が創案したらしい。
そんな古くからあった調理法だなんて知らなかった。
ほんと天才だと思う。
他のトッピングとしては、
新ぎんなんは、旨味や甘味がすごいのはもちろんのこと、
程よいほろ苦さがあって、そのバランスが絶妙であった。
白まいたけは初めて食べたが、旨味がギュッと詰まっていて美味しい。
茶色いものよりも、風味は抑えめとのことだが、
たしかに出汁の味を邪魔しないという意味ではぴったりだったかも。
黒鯥出汁のしらす飯
今回の限定飯がこちら。
黒ムツ出汁で炊いたご飯というだけで、絶対うまいのに、
しらすと油揚げという相性抜群のトッピングはさすがである。
これだけで、もう一杯おかわりしたいくらいであった。
〆のお茶漬け
最後の〆はこちら。
今回は、茶漬け用のごはんは注文せずに、
しらすご飯にスープを注いで、頂くことにした。
以前は、茶漬け用ごはんも別に頼んでいたが、
お腹いっぱいになってしまうので、腹八分目に到達する前に、
最後の〆を味わいたいというねらいであった。
まあ、その狙いは大成功で、
出汁の繊細さをしっかりと味わうには、
腹八分目未満で、スープ割に突入すべきだなと感じた。
また、あらかじめ幽庵焼きをひとかけら残しておいて、大正解。
ひとたびサラサラとかき込みだしたら、もう止められない。
様々な美味しさが凝縮された、最高の締めくくりであった。
ということで結論は、
黒ムツは何度食べても美味しい。
でした。
また今度黒ムツの回があれば、積極的に狙いに行こうと思う。