毎度おなじみ「くろ㐂」さんの限定麺。
早くも今季3杯目である。
今回は「四季を彩る一杯」ということで、
初夏の爽やかさが演出された季節感の強い一杯。
素材は「銀鮭」。
ラーメン×鮭×冷やし
という組み合わせは正直初めて。
なお、今回の一杯は、昨年末にくろ㐂の大将が出版した本の表紙を飾っている。
まさに、「くろ㐂の代表作」ともいえる一杯をついに味わえるということで、
ものすごく楽しみにして列に並んでいた。
食券のところまでいくと、限定飯がふたつ。
「ハラス丼」「漬け丼」
究極の選択である。
どちらにしようか、あるいは両方いこうか迷っていたのだが、
後ろにいた店員さんから、
「ちょうどさっきのお客様でハラス終わっちゃいましたー」
という衝撃の通告。
ショックで取り乱しそうになったが、
気を取り直して「漬け丼」を購入し、
列に戻ったのであった。
ということで、まずはその「漬け丼」から。
漬け丼
3つとも生で出てくるのかと思ったら、
2つが生で1つが炙りという素晴らしい演出。
両方のパターンが食べられるという意味では、
もしかしてハラス丼より当たりだったのではなかろうか。
生の方は、鮪でいうところの赤身っぽい脂の多くない部分で、
しっかりサーモンの味が感じられて美味しかった。
炙りの一枚は、ややハラスに近いところっぽく、
脂が良く乗っていて香ばしさもあってこれまた美味しかった。
いずれも醤油ベースのタレに漬け込まれているので、
程よく塩気も付いており、ご飯が良く進む進む。
3枚だが美味しすぎてあっという間になくなってしまった。
銀鮭の冷やしそば
ちょうど漬け丼を食べ終えたあたりで着丼。
非常に色鮮やかで、さすが「表紙を飾った一杯」である。
中央に鎮座する「南三陸の銀鮭」これが最高なのだが、
先に他のところから説明していく。
まずはスープから。
銀鮭の出汁と羅臼昆布の出汁の合わせ出汁がキンキンに冷えている。
そこに、特製の塩だれが合わさり、極上の冷製スープとなっている。
香味油は、大豆油をベースにサラダセロリとにんにくをマリネしたものだそう。
セロリのほのかな苦みと、にんにくのコクによって、
味がよりいっそう深くなっている気がする。
そこに合わさるのは、16番の切刃の麺。
16番というのは太さを表す単位で、
30mmの幅で16本とれるという意味らしい。
16番はラーメンとしてはやや太めの麺(うどん等に用いる)ということになる。
くろきでは初登場らしいが、
スープに負けない存在感があって非常に美味しい麺であった。
続いて、鮭以外のトッピング。
赤と白は特製のトマトサルサ。
冷たいスープには定番と言ってもいいトマトに、
シャキシャキした食感のタマネギ。
鮭出汁のほのかな塩気とサルサの酸味が不思議とよく合う。
その上に乗るのは2種類の豆。
黒い方は「くり豆」
やわらかく炊いて蜜煮にしたものであり、かなり甘味が強い。
緑色の方は「鞍掛豆(くらかけまめ)」
こちらは固めに茹でて塩味がつけられている。
そして最後にメインの銀鮭である。
↓銀鮭にズームした写真がこちら
南三陸でとれた「みやぎサーモン」。
公式サイトによると、
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水揚げの際に「活け締め」、「神経締め」と呼ばれる鮮度維持のための処理を施すことで、養殖ギンザケの最大の特徴である「新鮮で刺し身で食べられるサケ」にこだわった高品質、高鮮度な生食用のサケを「みやぎサーモン」と名づけています。
身にツヤと張りがあり、とろけるような食感とあまい食味が特徴です。
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http://www.miyagi-ginzake.jp/miyagisalmon/ より引用
ということなのだが、
正直、今まで食べてきた「サーモン」の中でダントツの一位であった。
まさか、寿司屋ではなくラーメン屋で味わうことになるとは、思いもよらなかった。
ホロっととろける食感、脂のノリ具合、肉厚な身、濃厚な味、ほどよい塩加減。
すべてのバランスが素晴らしい。
それにしっかり冷えていて身も締まっている。
これは美味い。
調味液に漬け込んで低温で火入れしているらしく、
完全な生というわけではないようである。
※大将ブログでは「42℃」という写真があった。いやはや仕込みが大変そうである。
それに、上に乗っている春菊ペーストやエストラゴンの爽やかさも、
よりいっそうサーモンの旨味を引き立てていると思う。
前述のスープとトッピングと麺とサーモンを一緒にたべたときの多幸感たるや
他に比類するものが無い。
なぜこんなに美味しいのか、よくよく考えてみると、
サーモンの旨味
鞍掛豆の塩味
トマトサルサの酸味
くり豆の甘味
セロリの苦味
ということで味覚の5要素のすべてが、絶妙なバランスでそろっているのだ。
どうりで美味しいわけである。
今シーズン、様々なラーメンを食べてきたが、
今回の限定の感動の大きさは随一だったと思う。
やはり、表紙を飾る一杯は、レベルが違った。
ここまで感動する料理を味わえた奇跡に感謝したい。
絶対来年も食べに来よう、と強く思った一杯であった。