言わずと知れたうどんチェーンの丸亀製麺。
たまたま自分の行動圏内にお店が無かったことから、ここのところ数年は食べていなかったのだが、新しい店舗が上野にオープンしたのを見かけたので、久しぶりに行ってみることにした。
数年ぶりに入った丸亀製麺はシステムが大きく変わっていた。
最も大きな変化ポイントはレジ横の調理コーナー。
一部のメニューでは、注文を受けてからここで調理されて提供される。
店に入る前は安い普通のぶっかけうどんでも食べようかと思っていたが、目の前で調理されていくその光景を見て、心変わり。
今回の季節限定メニューである「牛肉ひらたけしぐれ煮ぶっかけ」を注文することを決意した。
なお、温と冷と両方選べるのだが、この日は残暑が厳しかったので冷やしを選択。
牛肉ひらたけしぐれ煮ぶっかけ(冷やし)
焼き立てアツアツの具が乗っている、というだけでもう美味しそうに見える。
だが、見かけ倒しではなかった。
まず、目玉である「霜降りひらたけ」が何より素晴らしい。
柔らかすぎることもなく、かといって、しいたけのように噛み切りづらいというところまではいかない、絶妙な歯ごたえ。
一緒に焼かれた牛肉の脂と特製の甘辛ダレが良く絡んでおり、「あれ、キノコってこんなに美味しかったっけ」と思わされた。
たしかにこれまで「霜降りひらたけ」は食べたことが無かった。
ちなみに、「霜降りひらたけ」とは、
キノコメーカーのホクトが、日本産のヒラタケと西洋産のヒラタケを交配して生まれたオリジナルのプレミアムきのこ。
傘は肉厚で、その表面にはきれいな〝霜降り状の模様〟があるのが特徴。
味としては、歯切れ良い食感と、味のしみ込みやすさ、ジューシーさが特徴ということで、まさに甘辛ダレを使う肉うどんとの相性は抜群であった。
そして、もう一つの主役である、牛肉。
こちらがまた絶品である。
これまで、肉うどんというと、格安牛丼チェーン同様、煮込まれた肉が麺の上にのってくるだけのものが多かったが、
焼き立て特有の香ばしさ、脂の風味、そして温度。
やはり「調理したて」が一番美味しいということに改めて気づかされた。
味付けのタレは、すきやき風の甘辛の割り下であるが、通常の肉うどんのものよりやや薄目につくられているようで、カドが取れて丸くなった印象。個人的にはこのくらいの薄さの方が好みである。
ここに焼き立ての牛肉の脂と、ぶっかけつゆの味もプラスされて、ますます美味しくなり、うどんをすする手が止まらない。
また、店舗ですりつぶしたという山椒の実がときどき顔を出してくるので、肉の脂のこってり感が見事に中和されて、食べ終わった後に全体的にさっぱりとした印象にしてくれる。
実山椒なんてコスト的には高いだろうに、この最後の爽やかな余韻を出すために必要だと判断したメニュー開発担当の方には敬意の念を抱かずにはいられない。
並盛で640円と、この手のうどんチェーンにしては、一見すると高額にも思えるのだが、その場で調理してくれることに加え、この味のクオリティの高さなら、逆に安すぎて申し訳なく思えるくらいであった。
10月初旬までの限定らしいので、ぜひ早めに味わってもらいたい一品である。