1作目で賞をとるなんて、どれだけ凄いんだろうという興味と、
単純に又吉さんの大喜利とかネタとかは好きだったので、読みたいなとは思っていた。
単行本では手が出なかったけど、文庫本が出たので読んでみた。
純文学と聞いていたので、読みづらいところがあるのかと予想してたけど、そんなことはなく、むしろ読みやすい部類入ると思う。
芸人さんが書いているだけあって、最後の漫才のシーンは良かった。
もう少し相方の話もしてくれてたら泣けたのかもしれないけど。
「最も面白い存在」としての神谷と徳永との比較。自分はこういう面白さはできないともがきながら、自分なりの笑いの形を作って行くというのは、きっと芸人ならではのところであって、なかなかそれ以外の人には描ききれないところでは…と思った。
それだけでも読んだ価値はあったと思う。
また、絶対的な能力を持った人がいて、その人にその部分では勝てないと悟りながら違うところで勝てる部分や自分なりの方法を模索していくというのは、仕事であってもスポーツであっても同じようなところがあって、普遍的なテーマだ。
芸人さんの場合は「ネタ作り」ということになるので、何かものづくりをしている人にとっては、読んでいてわかる部分があるのではないかと思う。
きっと徳永のキャラが又吉さんに近いんだろうと思うけど、神谷は誰がモデルだったんだろう?というのは少し興味ある。
ラストでは2人とも芸人をやめてしまっているので、一概にハッピーエンドとはいえないし、一部煮え切らない部分もあるけど、予想よりはスッキリする終わり方だった。
賞を取るレベルのものかどうかという議論があるけども、自分は面白く読めたし、とにかくまあこれがデビュー作ってのはすごい。それは間違いない。
次回作の『劇場』に期待したい。