腸壁を削って美味い物を食す

元潰瘍性大腸炎(軽症)患者であった筆者(現在は完治済)が、症状が再燃するリスクを覚悟してでも食べたいと思うほど美味しかった逸品(主に麺類)を紹介していくブログです。不定期更新ですが、地道に書き進めていきます。よろしくおねがいします。

431. 創作つけ麺「伊佐木」@巌哲(早稲田):感動の限定麺!洋風のイサキ出汁はつけ麺でもリゾットでも最高!

前回(↓)に引き続き、巌哲さんの記事。

kenshinkk.hatenablog.com

 

ついに今回、限定麺にありつくことができた。

ここのお店の限定は、金曜夜および土曜のみ。

確実に食べるには金曜夜に行くべしとの事前情報。

仕事柄、なかなか金曜夜に訪問するのは難しいなと思っていたのだが、

たまたまチャンスがあり、行ってみることに。

 

この日は、タイトルにあるように「イサキ」

スズキ目イサキ科に分類され、日本各地で獲れる白身魚なのだが、

産卵期である今がまさに旬である。

今回の限定麺は、

長崎県五島列島の北方の島・小値賀島のブランド伊佐木「値賀咲」

を使用しているとのこと。

この「値賀咲」は、一匹一匹撒き餌を使わずに手釣りし、

丁寧に活け〆を行うなど、品質には細心の注意が払われているとされ、

外見、鮮度が良いことはもちろん、身がしっかりと締まり、

撒き餌を使用しないので生臭みが非常に少ないのが特徴とされている。

 

イサキを使ったラーメンなんて食べたことがなく、

それだけでもワクワクが止まらないのに、質の良いブランドイサキだというから、

並んでいる時間が長く感じることこの上なかった。

そんなヤキモキした状態で並ぶこと30分。ようやく店の中に入ることができた。

 

限定つけ麺は時価

今回は1800円ということで、一般的なつけ麺の倍の値段であったが、躊躇なく注文。

翌日休みということもあり、自分へのご褒美も兼ねて「日本酒」も合わせて注文。

おいしいツマミが付いて来ると口コミに書いてあったことに加え、

一番手前にいらっしゃったお客さん(常連さん)が

ものすごく美味しそうにお酒を飲んでいたこともあって、

もう注文せずにはいられなかった。

 

日本酒(1合) +いぶりがっこクリームチーズ添え

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店長オススメの日本酒が日替わりで提供されるそうで、今回は山口県カネナカというお酒。

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超辛口生酒(無濾過)であった。

最初の口当たりは甘いのだが、

そのあと辛口らしいキリッとした強烈な酒の風味とアルコール分が来て、

そして後味はスッキリ。

夏にぴったりの冷酒である。


ついてきたツマミはいぶりがっこクリームチーズ添え

居酒屋でメニューにあったらつい頼んでしまうこの組み合わせ。

なんでこんなにも合うのだろうか。

正直これだけで1合の半分くらいは進んでしまった気がする。

 

こだわりのお酒+レベルの高いおつまみが付いて、たったの800円。

素晴らしすぎる。

後述の追加つまみもあり、思わず2合目も注文しそうになるくらいであった。

※なお、2合目は別の日本酒になるらしい。飲んでおけばよかった笑

 

真子

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こちらは追加で注文した、おまけツマミ(100円)の「真子」

しっかりした醤油味がつけられていて、まるで料亭で出てくるような上品な一品。

煮付けのような上品な味付けで、これまたお酒が進む進む。

もう少し早く店に着いていれば、「白子」もあったようで、

隣の人がすごく美味しそうに食べていたのが印象的だった。

 

イサキのカルパッチョ 

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続いて登場したのは、限定つけ麺にデフォルトで付いて来るカルパッチョ

おまけだというのに、4枚もつけてくれるというすさまじいサービス。

白身なんだけど身の味がしっかりしてて、脂もそれなりに乗っていて非常に美味しい。

それに、カルパッチョということで、

オリーブオイル、玉ねぎ、塩コショウも効いていて、お酒のアテとしても優秀。

もちろん日本酒ともよく合ったのだが、白ワインと一緒に食べてみたかったなー。

 

創作つけ麺「伊佐木」 

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満を持して登場した、今回のお目当てであるつけ麺「伊佐木」。

まずは麺から。

 

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写真で見て頂いてもわかるように、非常に綺麗。

表面が非常になめらかな平打ちストレート麺で、舌触りも歯切れも良い。

大盛りで300gもあるのだが、食べてて最後まで全く飽きない麺である。

この独特の食感は、やはりカリウム不使用の効果なのだろうか(前回参照)。

他の店でもぜひ取り入れてほしいものである。

 

スープ

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もう見ただけで美味しいとわかる美しさ。

赤、黄色、緑、紫、茶、黒、白。

こんな色鮮やかなつけ麺のスープは、そうそうあるものではない。

 

まずはスープだけをひとくち。

これは美味い。

上質な魚の旨味とほんのり磯の香り、

そこにトマトの酸味とともに香味野菜と思われる旨味が押し寄せる。

イメージとしては、アクアパッツァにトマトを入れて極限まで美味しくした感じ、

といったところだろうか。

 

イサキからこれだけの美味しいスープを作り出すには、

とてつもない苦労があったようで。

店長さんが常連さんに語っていた内容と、

店長さんのブログで語られている内容を総合すると

以下のようになる。

 

大阪麺哲の本店では、素材の味を最大限に活かすような調理方針であったとのこと。

ただ、そのやり方では、イサキはどうしても出汁がいまいち(到達点に限界がある)。

イサキ自体は、刺身は勿論、煮ても焼いても何しても美味しい魚なのに、

磯の香りが強いのと、出汁自体に旨味が少ないので、

ストレートに出汁として使うと失敗してしまうらしい。

そこで、アクアパッツァの下味としてイサキの出汁を使ったところ

大変上手くいったことから、イサキの出汁を下地に手を加えた味付けであれば

独特の磯臭いクセも旨味に変えることができるということで、

今回のような洋風スープにたどり着いたそう。 

「ヒュメドポワソン」と呼ばれるフレンチの技法を用いて出汁を取り、

トマト仕立てにすることで、

イサキの持ち味を生かしつつ芳醇な旨味のあるスープになったそうである。

 

その話を聞いた直後のひとくちだったので、なんかもう感動してしまって、

美味しさがより増幅されたような気がした。

 

続いて、麺をスープにひたしてからひとくち。

なめらかな麺が、トマトと旨味のあるスープと非常に好相性。

スープの粘度はそれほど無いが、トマトのおかげでちゃんと絡んでくる。

若干のニンニク風味もあり、ニンニク好きにはたまらない。

麺の滑らかさも若干パスタに似ているので、

上質なスープスパゲティを食べている感覚に近いのかもしれない。

でも、完全につけ麺として成立させているのが凄い。

 

続いて、具の紹介。

特筆すべきはイサキのムニエル

焼き色も、皮の切れ込みも非常に美しく、食べるのがもったいない。

身はふっくらしていて、ホロホロと崩れる柔らかさ。

それでいて、パサッとはせずに、ほどよくジューシーさも残っている。

こんな美味しいムニエルは、なかなか食べられない。

注文が入ってから店長が丁寧に焼き上げており、その工程を見ているだけでも楽しい。

仕上げにバターを使い洋風スープにアジャストされたその味付けも完璧である。

 

次に紹介するのは、茄子

山口県の萩産の「たまげなす」という品種だそうで、全長は30cmと非常に大きい。

5月から6月が旬ということでまさに食べごろ。

輪切りにされたものが、しっかりローストされて、スープの中にゴロゴロ入っている。

4つも入っており食べごたえも十分。

これがまたトマトとよ~く合うわけで、チョイスが本当に素晴らしい。

 

次は、ヤングコーン

こちらも旬真っ只中らしく、甘い香りと味がトマトの酸味とよく合う。

また、独特の食感が良いアクセントになっていた。

 

チャーシューは、

おそらく通常メニューに入っている「薄切り」と同じと思われるが、

トマトベースのスープにもよく合うのがビックリ。

パスタでいうところのベーコン的な存在となり、ほどよい塩気が心地よい。

麺とチャーシューとネギと一緒に食べると、

「つけ麺を食べてるなー」と思い出させてくれる。本当に最高。

 

ということで、

ここまででもすでに1800円払った分の元は十分に取れた気がするのだが、

ここからがもうひとつの本番である。

 

スープ割&チーズ茶漬け

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スープ割をすると、印象がまたガラッと変わる。

「イサキ感」がより強く感じられ、

割っているはずなのにより旨味が強くなった感じ。

でも、全く臭みは無いし、しつこくもない。

いつまでも飲みたくなるスープである。

 

そして、待ってましたと言わんばかりのチーズ茶漬け

しっかりバーナーで炙って、とろけさせてから出してくれるのが嬉しい。

トマトベースのスープとチーズの相性は、言わずもがな。

1+1=3、いや10かな?それぐらいに美味しさが化けて跳ね上がった。

魚×チーズという合わなそうな組み合わせが、

トマトを媒介にして上手く融合されていた。

最後の最後まで感動的な美味しさであった。

 

ということで、

イサキ×つけ麺という初めての組み合わせは、

もはや美味しいを通り越して、終始感動しっぱなしであった。

つけ麺を食べたというよりかは、

イサキが主役のフルコースを食べたかのような満足感。

 

巖哲さんの限定麺は、今後もチェックし続けていきたいと思う。

そして、チャンスがあれば再訪して、

今度は2合目の日本酒にチャレンジしたいなと思った次第である。